Production Period / 1931-1934 (SN:101,622-108,300)
Martin Handcraft Troubadourは、1931年から1934年頃に製造されたモデルで、MARTINの初期モデル「Handcraft」の後継として登場しました。
MARTINはこれまでにない機構を多く取り入れており、前モデルのTypewriterでは使いやすさよりも独創性が重視されていました。Troubadourモデルもその流れを汲んでおり非常にユニークなサックスです。
特徴として、従来3つあった右手サイドキーが2つに減りましたが、2つで3つの役割を果たす機構があります。
1番下のキーはB♭、上のキーはトリルC,High-Eキー共通で対応しています。
トーンホールの位置も変化し、従来は同じ場所に2つ並んでいたものが前後で1つずつに分かれています。他にもネック部分に珍しい支柱が付いていたり、小指の指掛けが改善されていたりと独自性のある特徴が多く見られます。
サウンド面では、従来のHandcraftモデルが持つ力強さに、さらに深みが加わったサウンドが印象的です。
現行モデルと比較すると、本モデルではキーが1つ減り操作性に慣れが必要です。以前のモデルに比べると、指掛けが後ろに移動したことで脇を少し広げて持てるようになり持ちやすさが向上しました。
またローラーが追加されたことでLow-B♭を操作しやすくなりました。
このように現行モデルと比べるとまだ操作性の課題はありますが、少しずつ改善され未来を感じさせるサックスです。
MARTIN Handcraft Troubadourは、独創的なデザインと改良された機構が融合したモデルであり、当時のMARTINが持つ革新的な技術と未来への挑戦を感じさせるモデルです。